自然倍音(倍音列)とは?|トロンボーンとトランペットでわかる“音が出る仕組み”
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自然倍音(倍音列)とは?|トロンボーンとトランペットでわかる“音が出る仕組み”

「金管楽器って、どうして指を動かさなくても違う音が出るの?」「トロンボーンのスライドは、どこまで伸ばせばいいの?」
これから金管楽器を始める方や、吹奏楽部に入ったばかりの方が最初に抱く疑問ではないでしょうか。
実は、金管楽器が音を変える仕組みは、たった2つの要素で成り立っています。それが**「唇による音の切り替え(自然倍音)」と「管の長さの変更」**です。
今回は、プロのトロンボーン奏者の視点から、金管楽器の最も基本的で重要な「音が出る仕組み」を分かりやすく解説します。

STEP:1 バズイングとは? 〜息を入れるだけでは音が鳴らない!?〜

リコーダーやフルートなどの「木管楽器」は、管に息を吹き込むだけで音が鳴ります。しかし、トロンボーンやトランペットといった「金管楽器」は、ただ息を吹き込んでも「スー」という音が出るだけです。
金管楽器の音の源、それは奏者の**「唇の振動」**です。
マウスピースの中で唇を震わせることを**「バズイング」**と呼びます。このバズイングによって生まれた振動が、楽器の管の中で共鳴し、あの輝かしい音色へと変わるのです。つまり、金管楽器にとって唇は、サックスの「リード」や、声楽の「声帯」と同じ役割を果たしています。

https://youtube.com/shorts/fpVdRGMt_2k?si=GF3EonVVm2K3M4Ok

STEP:2 同じポジションでもたくさんの音が出る!?〜自然倍音の不思議〜

金管楽器の最大の特徴は、**「同じ管の長さ(ポジションや運指)のまま、唇の力加減だけでいくつもの音が出せる」という点です。これを理解するためのキーワードが「自然倍音(しぜんばいおん)」**です。
例えば、トロンボーンのスライドを一番手前(第1ポジション)にした状態でも、唇の締め方や息のスピードを変えるだけで、低い「シ♭」から高い「シ♭」、さらにその上の音まで、ハシゴを登るように音を切り替えることができます。
これは物理現象の一つで、一本の管に対して鳴らすことができる音の高さが決まっているためです。
1. ゆったりした振動(遅い息)= 低い音
2. 細かく速い振動(速い息)= 高い音
このように、指やスライドを動かさずに唇だけで出せる音の並びを「倍音列」と呼びます。

https://youtube.com/shorts/KthMMZgBMRY?si=b6nYKHQ87X9OhM7b

STEP:3 スライドを伸ばすと音が変わる〜管が長いほど音は低くなる!〜

前項で「唇だけで音を切り替えられる」と説明しましたが、それだけでは出せる音の数が限られてしまいます。ドレミファソラシドの「隙間の音」を埋めるために必要なのが、**「管の長さを変えること」**です。
トロンボーンは、全楽器の中でも最も分かりやすく仕組みを体現しています。
• スライドを縮める(管が短い) = 音が高くなる
• スライドを伸ばす(管が長い) = 音が低くなる
トロンボーンには「ポジション」が1〜7番まであり、スライドを約8〜10cm伸ばすごとに半音ずつ音が低くなっていきます。
「唇での音の切り替え(倍音)」と「スライドによる管の長さの変更」を組み合わせることで、私たちは自由自在にメロディを奏でることができるのです。

https://youtu.be/wbjW918GcHE?si=ylJue7tNp_-893MS

STEP:4 トランペットも実は伸ばしている!?〜ピストンの正体!〜

一見すると構造が違うトランペットも、実はトロンボーンと全く同じ仕組みで音を変えています。
トランペットにある3つのボタン(ピストン)を押すと、空気の通り道が切り替わり、本来の管に加えて「バイパス(枝分かれした管)」を通ることになります。つまり、ピストンを押す=**「一瞬で管を継ぎ足して長くしている」**のと同じなのです。
• 第1ピストン:全音(2半音)分、管を長くする
• 第2ピストン:半音分、管を長くする
• 第3ピストン:1音半(3半音)分、管を長くする
これらを組み合わせることで、トロンボーンのスライド7つ分と同じ役割を果たしています。トロンボーンは「アナログ」に長さを変え、トランペットはボタンで「デジタル」に長さを切り替えている、と考えると分かりやすいでしょう。

https://youtu.be/YXtMLyGjWkQ?si=5x9jGAh7fU6BgDs7

STEP:5 まとめ

金管楽器の仕組みをまとめると、以下のようになります。
1. バズイング:唇を震わせて音の種を作る。
2. 自然倍音:唇の振動数(息の速さ)で、ハシゴのように音を切り替える。
3. 管の長さ:スライドやピストンで管を伸ばし、倍音同士の隙間の音を埋める。
この仕組みを知っていると、「音が出にくいのは息のスピード(倍音)が合っていないからかな?」「音程が悪いのは管の長さ(ポジション)がズレているからかな?」といったように、練習の質をぐんと高めることができます。
理屈が分かれば、上達はもっと速くなります。ぜひ、自分の楽器が今「どのくらいの長さで」「どの倍音を鳴らしているのか」を意識しながら、練習を楽しんでみてください!

https://youtu.be/cmw_o52eAco?si=PKVXcm0suePsZt7v

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