ピアノのアルペジオがでこぼこになる|指くぐりと手首の移動を写真で解説
カテゴリー
レベル

ピアノのアルペジオがでこぼこになる|指くぐりと手首の移動を写真で解説

アルペジオの音の粒がそろわない原因は、指の力ではなく「親指の準備の遅れ」と「手首の上下動」にあることがほとんどです。症状の見分け方から、1日10分でできる練習メニューまで、写真付きで解説します。

STEP:1 結論:でこぼこの原因は「親指の準備が遅いこと」と「手首の上下動」

アルペジオで音の粒がそろわない、指くぐりのところで音が飛び出したり途切れたりする。その原因の多くは、指の力ではありません。

・親指が、くぐる直前まで動き出していない
・指くぐりのたびに、手首が上下に揺れている

この2つを直すだけで、アルペジオはぐっとなめらかになります。この記事では、原因の見分け方と、今日から試せる練習を順番に紹介します。

STEP:2 症状チェック:あなたのでこぼこはどのタイプ?

まずは、ゆっくりのテンポでドミソドミソ…と弾いて、録音してみてください。聴き返して、次のどれに当てはまるか確認します。

・指くぐりの直後の音だけが大きく飛び出す
 → 親指が遅れて、勢いで打鍵している
・指くぐりの直前で音が途切れる
 → 親指の移動に時間がかかって、手が止まっている
・全体的に音の大きさがバラバラ
 → 手首が上下して、打鍵の角度が毎回変わっている
・速くするとリズムがよれる
 → 手首が横に移動せず、指だけで届かせようとしている

STEP:3 原因①:親指の準備が遅い

くぐる直前まで親指が元の位置で待っていると、最後に「ガクッ」と大きく動くことになります。その動きが、そのまま音の飛び出しになります。

写真のように、前の音を弾いているあいだに、親指を手のひらの下へ送っておくのが理想です。

原因①:親指の準備が遅い

STEP:4 原因②:手首が上下に動いている

指くぐりのたびに手首が持ち上がったり沈んだりすると、指が鍵盤に当たる角度が変わり、音量がそろいません。

写真は横から見たところです。手首の高さを変えずに、腕ごと横へ動かします。

原因②:手首が上下に動いている

STEP:5 原因③:指くぐりの前後で打鍵の強さが変わる

親指は他の指より重く、力が入りやすい指です。親指の音だけが強く出ていないか、録音で確認しましょう。

STEP:6 対処STEP1:親指だけを先に送る練習(片手・ゆっくり)

右手で「ド(1)・ミ(2)・ソ(3)」と弾くあいだに、親指を手のひらの下へ少しずつ移動させておきます。3の指でソを弾いた瞬間には、親指がもう次のドの真上にある状態を目指します。

写真のように、指で鍵盤を押さえているあいだに、親指はもう手のひらの下で次の音へ向かっています。

対処STEP1:親指だけを先に送る練習(片手・ゆっくり)

STEP:7 対処STEP2:手首を水平に横移動させる練習

手首の高さを変えずに、腕ごと横へスライドさせる意識で弾きます。鏡の前や、スマホで横から撮りながら練習すると、上下の揺れに気づきやすくなります。

STEP:8 対処STEP3:リズム変奏・区切り練習で粒をそろえる

同じアルペジオを、リズムや区切り方を変えて弾きます。

・付点のリズム(タッカ)と逆付点:指くぐりの前後に長い音と短い音が交互に来るので、苦手な場所が自然と鍛えられます。
・2音ごとに区切って間をあける:「ドミ・(休み)・ソド・(休み)…」と2音弾いたら止まり、そのあいだに次の位置へ手と親指を先回りさせます。慣れたら3音、4音と区切りを伸ばします。

【体験談】ショパンの『革命のエチュード』では、左手の速いアルペジオがでこぼこになりました。左手だけを取り出していろいろなリズムで練習し、特に効いたのが2音ごとに間をあける練習です。止まるたびに次の位置を準備できるので、通して弾いたときの粒がそろってきました。

STEP:9 対処STEP4:苦手なつなぎ目だけを取り出してくり返す

録音で見つけた「でこぼこになる場所」、つまり指くぐりの前後の数音だけを取り出して、そこだけを何回もくり返します。曲を最初から通して弾くよりも、苦手な部分にかけられる回数がずっと多くなるので、指が動きを覚えるのが早くなります。スムーズに弾けるようになったら、前後の数音をつなげて、少しずつ範囲を広げていきましょう。

STEP:10 対処STEP5:メトロノームでテンポを段階的に上げる

最初は♩=60くらいから始めて、きれいに弾けたら4ずつ上げていきます。でこぼこが出たら、ひとつ前のテンポに戻るのがコツです。

STEP:11 よくあるNG例

・肘が外に張る:手首がねじれて、親指がくぐりにくくなります
・手首をひねって届かせる:一瞬は届いても、音の粒がそろいません
・最初から速く弾く:くせがついてしまい、あとから直すのに時間がかかります

写真はNG例です。手首が外側に折れて、腕と手がまっすぐになっていません。これでは親指がくぐりにくくなります。

よくあるNG例

STEP:12 練習メニュー:1日10分のチェックリスト

・2分:片手ずつ、親指だけを先に送る練習(STEP1)
・2分:手首を水平に保って横移動(STEP2)。スマホで横から撮って確認
・3分:付点・逆付点のリズム変奏と、2音ごとに区切る練習(STEP3)
・2分:苦手なつなぎ目だけをくり返す(STEP4)
・1分:メトロノームで、今日弾けるいちばん速いテンポを確認(STEP5)

STEP:13 まとめ:今日やること3つ

1. ゆっくり弾いた音を録音して、でこぼこの「タイプ」を確認する
2. 3の指を弾いたときに、親指がもう次の鍵盤の上にあるかチェックする
3. スマホで横から撮って、手首が上下していないか見る

アルペジオのでこぼこは、才能ではなく「手の準備のタイミング」で決まります。焦らずテンポを落として、きれいな粒を体に覚えさせていきましょう。

コメント0件