管楽器のピッチの合わせ方~チューナーで合わせてませんか?
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管楽器のピッチの合わせ方~チューナーで合わせてませんか?

音楽ライフを楽しんでいらっしゃる皆様、こんにちは!
今回は「ピッチの合わせ方」について解説させていただきます。

STEP:1 ピッチとは?

ピッチとは、音程のことを指します。
音程が合っている演奏は、とても心地良く聴こえます。
では「音程が合っている」というのはどういうことなのでしょうか?
結論からいいますと、「居心地のいい音」を出している状態のことです。

歌で考えるとわかりやすいと思います。
例えばカラオケで、歌の上手い人って、聴いていて心地良いと感じませんか?
これが「音程が合っている」状態です。
歌の上手い人はなぜ音程を合わせられるのでしょうか。
それは、バックで鳴っている音に対して、自分が出すべき音が分かるからです。
これを「相対音感」と言います。
相対音感とは、聴こえた音に対して出すべき音がわかる能力のことです。

でも、この感覚はほとんどの人が身についています。
なぜなら、いい音楽の区別がわかるからです。
音が取れないのは、インプットはできても
アウトプットが上手くできないだけです。
そして、これは歌だけではなく、楽器にも同じことが言えるのです。

STEP:2 チューナーで合わせてませんか?

音程は「ヘルツ(Hz)」で表されます。
一般的な基準としては、
クラシック音楽の国際基準440Hz、
吹奏楽での基準は442Hz。
そしてジャズは441Hzが多い印象です。
ちなみにヘルツとは何かというと、「1秒間に繰り返す音の波の数」です。
ヘルツを上げると演奏が華やかな印象になるので、あえて上げるオーケストラもあります。
そしてこのヘルツが上がると、「ピッチが高い」という言い方をします。

実は、この数値を意識しながら演奏する必要はありません。
なぜなら、クラリネットという楽器は、ギターやベースなどの弦楽器と違って、
ひとつ音を合わせただけで全ての音程が機械的に同じピッチになる楽器ではなく、
口の筋肉(口輪筋と言います)の締め方で、簡単に変わってしまうのです。
重要なのは、「今鳴っている他の楽器の音に対して、居心地のいい音が出せるか」なのです。
さっきのカラオケのお話と一緒で、楽器は歌と同じです。
ちゃんと耳で音を聴いて、そこにふさわしい音を出す。
なので、チューナーで合わせてしまうと、目でピッチを確かめていることになり、
そこで数値が合っていたとしても、耳で合わせていないので、演奏した際に「ピッチがあってない」となってしまうのです。
ピッチを合わせる時は、ピアノがあればピアノで合わせ、なければ演奏するメンバーに音を出してもらって、
耳で合わせることが大切です。

また、クラリネットは楽器の歴史としては比較的新しい時代の楽器であり、
音は運指で決まっているので、ドの音を出したければ基本的にドの音がでます。
しかし、正確に言うと、「ドに近しい音を出している」のであって、
ちゃんと耳を使って音を出さないとピッチは合いません。
これを「楽器任せに吹いている」と表現します。楽器に頼ってはいけません。
ピッチを合わせるには、耳を使って合わせることが重要です。

STEP:3 ピアノを使って耳でピッチを合わせる方法①

では、個人練習でピッチ感を鍛える練習方法をご紹介します。

1,ピアノを使う
ピアノや鍵盤楽器がある場合。まず前提として、
クラリネットはビーフラットの楽器なので、ピアノと1音違うことを理解してください。
ピアノの「シドレミファソラシ(フラット2つ)がクラリネットの「ドレミファソラシド(調号なし)」です。

ピアノを使って耳でピッチを合わせる方法①

STEP:4 ピアノを使って耳でピッチを合わせる方法②

ピアノで「シ♭」と「ファ」を鳴らします。
この和音をしっかり聴いて、ピアノで「レ」の音を鳴らします。
綺麗な長三度の和音になりましたね。

STEP:5 ピアノを使って耳でピッチを合わせる方法③

では、このピアノの「レ」の音を覚えておいて、
もう一度ピアノで「シ♭」「ファ」の音を弾きます。
今度はピアノの「レ」にあたる音を、クラリネットで出してみましょう。
クラリネットの「ミ」の音になりますね。
意識するのは、数値でも楽器任せでもなく自分の耳を使って、この和音に対して居心地のいい音を出すこと。
綺麗な長三度の音程になりましたか?
それでば、最初に基本の3和音で吹き、次に「半音上げたパターン」と「オクターブ上げたパターン」を参考に吹きます。
動画ではサスティンペダルで音を伸ばしていますが、もしピアノを弾いてくれる人がいたら、手伝ってもらうと全音階で練習ができますし、吹くことに集中できますよ。

STEP:6 録音機能を使って耳でピッチを合わせる方法①

2,録音機能を使う
ピアノがない場合は、自分の音を録音し、その音に対して居心地のいい音を出す練習をしてみましょう。
ここでは「ドレミファソラシド」のスケール上向下降を吹いて録音します。メトロノームを使うとやりやすいです。

STEP:7 録音機能を使って耳でピッチを合わせる方法②

録音したら、再生して一緒に吹いてみましょう。
録音した「ドレミファソラシド」に対して3度上の「ミファソラシドレミ」を吹いてみます。
自分の音と気持ちよくハモれると嬉しいですね。

STEP:8 まとめ

これらの練習をしていくと、だんだんと出したい音程を口が覚えてくれるようになります。
音楽は生きています。チューナーで合ってたから、と機械的に音を当てはめて演奏すると、
落ち着きのない、歌心のない演奏になってしまいます。
ただ、歌は自分の身体から出す音に対して、楽器という媒体を使って居心地のいい音を出すのは、
やはり簡単にできる事ではないです。なので練習が必要です。
楽器を吹いていないときでも、生活している中で聴こえる音に対して、そっと声で音を取ってみるのもいい練習法です。

そして、誤解しないでほしいのは、全くチューナーを使うなと言っているわけではありません。
基本となる音が分からないときは、しっかり使ってください。
この音はこうやって出すとこのピッチになるんだ、と、
目と楽器任せにならず、耳を使って、しっかり感覚を自分の身体に覚えさせてくださいね。

あなたの音楽ライフに、少しでも役立ったら幸いです!
わからないこと、質問したいことがありましたら、是非コメント欄でお伝えくださいね。

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