このホワイトノイズの原因は、多くの場合マイクの故障ではなく、機材の「ゲイン設定」にあります。
ノイズを抑える鍵は、機材内部の雑音を理解し、適切な音量バランスで収録することです。
本記事では、録音品質をプロ級に引き上げる設定のコツや「S/N比」の改善策を凝縮して解説します。
目次
STEP:1 なぜ録音に「サー」という音が入るのか?
ホワイトノイズの正体は、機材の内部回路から発生する「自己ノイズ」と呼ばれる微弱な電気信号です。
どれほど高性能な機材でも電気を通す以上、このノイズをゼロにすることはできません。
このノイズが目立つ主な要因は、音声信号を増幅させる「ゲイン」の過剰な引き上げにあります。
マイクに入る音が小さすぎる状態で無理に音量を稼ごうとすると、本来拾いたい音声と一緒に、機材が抱える自己ノイズまで持ち上がってしまうのです。
対策のゴールは「ノイズを完全に消す」ことではなく、「ノイズが聞こえない比率で音を録る」ことにあります。
STEP:2 ノイズ対策の最重要指標「S/N比」を改善するコツ
クリアな録音に不可欠な指標が「S/N比(信号対雑音比)」です。
これは、届けたい音声(Signal)と、不要なノイズ(Noise)の比率を指します。
この比率が大きいほど、ノイズが気にならない良質な録音となります。
初心者が陥りがちな失敗は、「後で編集すればいい」と考え、小さな音で録音してしまうことです。
録音された声が小さすぎると、後で音量を上げた際に背後のノイズも同じ倍率で強調されてしまいます。
「録音後に大きくする」のではなく「録音時に適切な音量で入れる」意識が、デジタル処理に頼るよりも遥かに効果的です。
STEP:3 ホワイトノイズを最小限にする「適正ゲイン」の設定手順
機材の性能を引き出すための、具体的なステップを解説します。
・オーディオインターフェイスのメモリ目安
入力レベルのピーク(最大値)が -12dBから-6dB程度 に収まる設定を推奨します。最も声が大きくなった瞬間に、インジケーターの「黄色」が点灯する程度が目安です。
赤色のクリップランプが点くのは上げすぎですが、緑色がかすかに光る程度では低すぎます。
歪まない限界の手前まで、信号をしっかり流し込む感覚を掴みましょう。
・マイクとの物理的な距離を詰める
最も強力なノイズ対策は、マイクとの距離を詰めることです。目安として、**マイクと口の間隔は「拳ひとつ分」**に保ってください。
物理的に大きな音を届けることで、機材側のゲインを下げられるため、結果として自己ノイズを最小限に抑え込めます。
STEP:4 機材選びで変わる!ホワイトノイズ回避のチェックポイント
設定を見直しても改善しない場合は、ハードウェアに原因があるかもしれません。
・マイクの「感度」と「自己ノイズ」を確認する
スペック表にある「自己ノイズ(等価ノイズレベル)」を確認しましょう。15dB以下の数値であれば非常に優秀です。
一方、低感度なマイク(SM7B等)は、十分な音量を得るためにプリアンプを大幅に上げる必要があり、オーディオインターフェイスの性能が低いと逆にノイズが増えるケースもあります。
・ケーブルや接続環境の点検
断線しかかったケーブルや、PCの近くを通る配線がノイズの原因になることがあります。
USBハブを介さずPC本体に直接接続することや、電源アダプタから音声ケーブルを離すだけでも、劇的に改善する場合があります。
STEP:5 どうしても消えないノイズを編集で処理する方法
最終手段として、iZotope RXなどの除去ソフトやDAWの「ノイズゲート」を活用しましょう。
これらは、発声していない間のノイズをカットしたり、AIで声とノイズを分離したりするのに役立ちます。
ただし、かけすぎると「水中にいるような音」になる副作用があるため、編集はあくまで補助として考えましょう。
STEP:6 まとめ
最大のノイズ対策は「マイクに近づき、適正ゲインで録る」という基本に尽きます。まずは-12dB〜-6dBを目標に設定を見直してみてください。
この一歩で、あなたの録音データは見違えるほどクリアになるはずです。
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