目次
STEP:1 レイテンシーについて
まずはじめに、「レイテンシー」とは楽器を弾いたり鍵盤を押したりしてから我々の耳に届くまでに発生する遅延のことです。この遅延は入力(鍵盤を押したときなど)してからPC内部で音のデータ処理を行うために必要な猶予時間になります。単位はms(ミリ秒)であらわされます。PCのスペックが高ければ高いほど処理が安定して行えるため、結果的に遅延を抑えることができるようになるわけです。そう聞くと、「じゃあ音が遅れるのは自分のPCの性能不足なのか...」と落胆された方もいるかもしれません。ですが多くの場合、原因は「設定」のせいでPCが本来の性能を発揮できていないことです。
なのでこの記事でレイテンシーを大きくしてしまう設定を一つずつ見直していきましょう!
STEP:2 バッファサイズとは
レイテンシーが大きくなってしまう最大の原因は「バッファサイズ」にあります。これはパソコンやオーディオ機器が一時的に音やデータをためておく領域のサイズです。この値が小さいほどレイテンシーを小さくできます。ですがPCのスペックやかかる負荷によっては短い時間だと処理がうまくいかずノイズなどが発生することがあります。なので自分の環境に合ったバッファサイズを探すことをまず目指します。
STEP:3 実際にバッファサイズを設定してみよう
Studio Oneではこの設定は画像①のStudio One(もしくはStudio Pro)を選択しオプション→オーディオ設定から②のコントロールパネルを押すと新たな画面が出てきて③のレイテンシーを弄ることができます。また、Windows Audio以外のオーディオデバイス(オーディオインターフェース等)を使用されている方はデバイスバッファサイズからサンプルレートを変更できます。
STEP:4 バッファサイズの変更基準
バッファサイズをいくつに設定すればよいかわかりにくいと思いますので、基準として以下のようなイメージを持っていただけたらと思います。
・レイテンシー10ms 快適だが処理負荷は比較的大きい。
・レイテンシー20~40ms 違和感を感じつつモニタリングしつつmidi録音が可能。マイク録音をモニタリングしながら行うのは困難。処理負荷は中程度。
・レイテンシー50ms~ モニタリングしつつのmidi録音は難しい。マイク録音をモニタリングしながら行うのは不可能。処理負荷は軽い。
オーディオインターフェイスを使用されている方はデバイスバッファサイズを弄ると下にある入力/出力レイテンシーの値が変化するので先ほどの数値と”出力”レイテンシーを対応させて判断してください。
また、ミックスやマスタリング作業の時はプラグインなどの影響で高負荷がかかるのでバッファサイズを上げレイテンシーを大きくしておくことをお勧めします。録音時だけレイテンシーを小さくするなど工夫をしていきましょう。
STEP:5 オーディオインターフェイスの導入
先ほどたびたび出てきた「オーディオインターフェイス」という言葉は聞きなれない人もいるかもしれません。オーディオインターフェイスとは簡単に言うと録音に使う機材のことなのですが、実はこれがかなりレイテンシーを改善するのに役立ちます。その他にも高音質化やギターの端子が直接つなげるようになるなど利点が多いので、先ほどの設定で改善しきらなかった人はぜひ導入を検討してみてください。(長くなるのでオーディオインターフェイスについての詳しい説明は省きます)
STEP:6 オーディオインターフェイスの専用ドライバ導入
そしてここからはオーディオインターフェイスを持っているのにレイテンシーが改善されないという方が意外に見落としていることになります。(ここからの話はwindowsユーザー向けの話です)それは「専用ドライバ」を導入していない、ということです。まずドライバとはパソコンと周辺機器の間で言語を翻訳する「通訳ソフト」のようなものになります。現在専用ドライバを導入していない人はWindows Audioという汎用のものを通じてオーディオインターフェイスを使用している状態なのですべてを翻訳できておらず、100%の性能が引き出せていない状態なのです。メーカー純正の専用ドライバを導入すると正常に「ASIO規格」で動作するため、汎用のものに比べレイテンシーを劇的に抑えることができます。
ぜひお持ちのオーディオインターフェイスについて検索し、手順に沿ってドライバをインストールしてみてください。
インストール後再起動すると先ほどのバッファサイズの変更の時にも出てきたオーディオ設定のオーディオデバイスの欄に専用ドライバが追加されているはずです。(私の場合はStudio24cを使用しているので以下のような表示になっています)
STEP:7 ダイレクトモニタリングを使う
次にダイレクトモニタリングについてです。こちらもオーディオインターフェイスを持っている方向けの解説になります。まず一般的にダイレクトモニタリングというと、PCにデータを送る前に入力された音をヘッドフォンなどに返すことです。オーディオインターフェイス本体にボタンやつまみがあるので知っている方が多いと思います。ギターなどの音はアンプシミュレーターを通さない生の音ですがほぼ遅延なしでモニタリングすることができますよね。と、ここまでは一般論の話ですが実はStudio Oneの最新版、Fender Studio Pro 8を使っている人にはもう一つダイレクトモニタリングと呼ばれる機能があります。それは一般的には低レイテンシーモニタリングと呼ばれる機能になるので次セクションで解説します。
STEP:8 低レイテンシーモニタリング(Fender Studioにおけるダイレクトモニタリング)
次はStudio One付属の機能です。これを使うことの利点なのですが、なんと処理の軽いプラグインに限りエフェクトがかかった状態の音をモニタリングできます!筆者の環境では純正アンプシミュレータのAmpireのかかった音がモニタリング可能でした。
これが発動しているかは画像のDマーク(7以前のバージョンの方はzマーク)で判断できます。インストゥルメントトラックはあらかじめ設定をオンにしておくと青いモニタリングマークが点灯しているときに発動、オーディオトラックはMainの下にある緑のDマークをオンにしてからモニタリングマークを点灯させるとDマークが現れ発動します。
文字だとよく分からなかったという人のために動画でも解説しているので良ければご覧ください。
STEP:9 録音した後のズレはどうする?録音オフセットとは
これまではモニタリングのレイテンシのことについて解説してきましたが、録音したデータが伴奏とずれていて自分で戻すのが面倒...という人もいると思います。
そんな人にお勧めしたいのが録音オフセット機能です。この機能は録音時のレイテンシなどにより記録した音が一律で早まる、遅くなるのを補正するための機能です。自分の環境に合わせて補正してみるのもいいかもしれません。数値に関して言うと早まると感じる人はプラス20くらいがおすすめです。ちなみにmidiに関しても同様の項目があります。
STEP:10 録音時の処理を軽くする工夫
いろいろ書いてきましたが、設定以前にそもそも処理が重すぎるとレイテンシーやノイズはどうしても発生します。プラグインを大量にさした状態だと録音はうまくいきません。画面にある電源マークのようなところを押すとさしているエフェクトのオンオフを自動で切り替えることができます。
録音しているときはエフェクトをオフにする、重いソフト音源のトラックのみミュートする、など工夫を凝らしていきましょう。
STEP:11 最終手段:いい機材を買う
最後の手段です。性能の高いPCはやはり処理がスムーズに行えます。私も以前はRyzen3のノートPCでDTMをしていましたが、Ryzen9の現在のデスクトップPCに変えてからかなり作業効率が上がりました。外部プラグインが増えてくると作業環境の限界はやはり来ます。
PC、オーディオインターフェイス、ケーブルなど自分の機材を見直してみるのも一つの手かもしれません。
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