初めてだとびっくりしてしまいますが、三味線では弦が切れることはよくあることです。
ここでは、初心者の方が必ず知っておきたい「弦が切れた時にどうしたらいいか」を解説します。
目次
STEP:1 三味線の弦はなぜ切れる?よくある原因
弦(=三味線の場合「糸」といいます)は消耗品ですので、演奏していれば必ずいつかは切れるものです。
主な原因としては
・撥が当たり続けたことによる摩耗
・左指で同じ個所を弾いたり擦ったことによる摩擦
・生産から時間がたった弦(絹糸)の劣化
が考えられます。
ただ、糸が切れた場所によっては、「消耗」以外の原因が隠れている場合があります。
まずは、糸が切れた場所別の原因と対策をお伝えします。
<糸の切れた場所別の原因と対策>
① 撥が当たる位置で切れる場合
撥(ばち)の当たる位置で糸が切れるのはかなりよくあることです。
しっかりと、毎回同じ位置に撥が当てられていた証でもありますが
あまりにも短時間で糸が切れるようでしたら、摩擦以外の原因があるかもしれません。
【考えられる原因】
● 撥の先が尖りすぎている
→買ったばかりの撥に稀にあることですが、撥の先端部分が鋭利になっていることで
撥が当たった際に糸を必要以上に傷つけていることが考えられます。
あまりにも尖っている場合は、目の細かいやすりで少し先端を整えると糸への負荷が少なくなります。
● 撥の当て方が間違っている
→撥は、胴の表面に対して35〜45度の角度を維持し
太鼓に向かって撥をまっすぐに振り下ろすように叩きます。
弦を斜め上から撫でるような間違った弾き方をすると、
糸に負荷がかかり、切れる原因になる場合があります。
正しい撥の持ち方については
▼こちらの記事を参考にしてみてください▼
「三味線のバチの持ち方をやさしく解説!」
https://howto.mikke-music.jp/howtos/IXWIZYE
② 上駒のあたりで切れる場合
上駒(糸巻きに近い金具の部分)で切れる場合は、
糸と上駒の間で起きる摩擦や引っ掛かりが原因と考えられます。
通常、上駒周辺で糸が切れることはあまりないため
もしもこのあたりで頻繁に切れる場合は
上駒の不具合や破損が考えられるので、三味線屋さんに見てもらいましょう。
③ 棹のどこかで切れる場合
太鼓や、上駒のあたり以外の棹の部分で糸が切れるのは
前述のとおり「ハジキ」や「スリ」といった演奏技法を
何度も同じ位置で行ったことによる摩擦が原因であることが多いですが
それ以外の原因としては
● 新しい糸を張った時に糸を折ってしまった
→弦の張り替えの最中に誤って糸を折ったりねじってしまった時に
後々その部分が傷んで断裂につながることがあります。
そうならないために、正しい糸の張り替え方を覚えましょう!
STEP:2 糸の種類について
三味線には三本の糸が張ってあります。
一番太い糸を「一の糸」
真ん中の糸を「二の糸」
一番細い糸を「三の糸」
と呼びます。
三味線の糸は一般的には「絹糸」を使用します。
これは絹の糸をノリで固めて撚り合わせたものです。
糸の太さは「匁(もんめ)」という単位で表され、
数字が大きいほど「太い」糸ということになります。
(生産時の原糸の重さが重いほど太い糸ができる、ということですが今回は詳細な説明は割愛します)
実際の糸の種類の表記は
「13-3」「14ー2」「15ー1」といった数字で表されていて
「太さー糸」を表しています。
私は中棹三味線で民謡を演奏するため
13-3、13-2、15-1
の組み合わせで、割と細めの糸を使用していますが
例えば太棹の津軽三味線ですと
15-3,16-2、28-1
のように太い糸の組み合わせで演奏されるかと思います。
糸の太さの組み合わせは、三味線の種類や演奏するジャンル、好みによって変わってきますので
色々と試してみて自分の好みの太さを探してみてください。
<糸の材質について>
三味線の糸は絹糸以外にも
「ナイロン」や「テトロン」といった化学繊維の糸があります。
個人的には、爪の掛かりが良く、音色も良い絹糸をおすすめしますが
切れにくい化学繊維の糸でたくさん練習するのも良いかと思います。
こちらも好みで使い分けをしてみてください。
STEP:3 三味線の糸を取り換えよう
それでは糸を取り換えて新しい糸をかけていきましょう。
手順は
音緒に糸をかける
↓
糸巻きに糸を取り付ける
↓
糸巻きに糸を巻く
の順番です。
※もしも糸が途中で切れた場合は、
糸巻きに糸が残っていればそこから繰り出して音緒に再び糸をかけることで
糸を張り替えることができます。
STEP:4 【ステップ1】音緒に糸をかける
ここでは3の糸(1番細い糸)の取り換え方を説明しますが
2の糸、1の糸でも同様です。
①糸のこよりを外し、束ねてある状態からほどけないように指をかけて持ちます。
②糸の銀色の印がついている方の先を、太鼓側から音緒に通します。
③通した糸で輪を作ります。
④輪をくるっとひねって音緒に上からかけます。
⑤棹の方へ糸を引いていき、音緒を糸で引き絞り固定します。
糸の位置は音緒の根元にくるようにします。
STEP:5 【ステップ2】糸巻きに糸を取り付ける
①糸を引っ張りながら糸巻きまで伸ばします。
※途中で折れたりねじれないように注意!
②糸の先を糸巻きの穴に棹側から通します。
③糸巻きを巻き上げながら糸を固定します。
STEP:6 【ステップ3】糸巻きに糸を巻く
①糸が重ならないように注意して、きれいに糸を巻きあげていきます。
②3の糸と1の糸はそれぞれ左右のギリギリ端に寄るように巻き上げます。
この時に糸が糸蔵の枠に触れないように注意してください。
③2の糸は3本の糸が等間隔になるように真ん中を通します。
④最後に糸を下から上に向かってしっかりと伸ばします。
STEP:7 最後に
三味線の糸が切れることはよくあることです。
何度も糸を張り、細かい作業に慣れていけばすぐに取り換えられるようになります。
また、舞台に立つようなことがあれば、本番前には必ず糸を新しいものに取り換え
よく伸ばすようにしましょう。
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