龍笛の音が出ない時の原因とコツ 初心者が最初に覚える息の方向と姿勢
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龍笛の音が出ない時の原因とコツ 初心者が最初に覚える息の方向と姿勢

雅楽(ががく)は、千年以上受け継がれてきた日本の音楽。その中で龍笛(りゅうてき)は、澄んだ高音で空を駆けるように響く笛です。
ただし見た目以上に繊細で、最初の一音がなかなか出ないことも。

この記事では、音が出ない原因と、初心者がまず覚える息の方向・姿勢のコツを紹介します。

この記事は龍笛歴20年以上の筆者が経験を元にわかりやすく解説します。

STEP:1 はじめに:まず「音が出ないのは当たり前」からスタート

龍笛は、単に吹けば音が出る笛ではありません。
息の角度、唇の形、体の姿勢——そのすべてが整って初めて音が生まれます。
最初のうちは音が出なくて当然です。焦らず、感覚を探るつもりでゆっくり練習していきましょう。

では、ここからは龍笛の音が出るようになるまでの3つのステップを紹介します。

STEP:2 STEP.1:音が出ない原因を知ろう

最初に押さえたいのは、龍笛の音が出ない仕組みです。
龍笛はリコーダーのように息を「吹き込む」楽器ではなく、笛の縁に息を“当てる”楽器です。
息の角度・唇の形・姿勢のズレが、音の出ない主な原因になります。

■息の方向が違う
多くの初心者は、息を真っすぐ笛の中へ吹き込もうとします。
しかし、龍笛の正しい吹き方は吹き口の反対側の角に息を当てるのように吹くことです。
息を水平からやや下向きに出して、「向こう側の角をかすめる」イメージで吹くと、音が鳴り始めます。

💡チェックのコツ
鏡を使って息の方向を確認してみましょう。
息が笛の角を通っていないときは「スー」という風音だけになります。
少し角度を変えながら、息が当たる位置を探ってください。

■唇の形が安定していない
唇をすぼめすぎると息が弱く、広げすぎると拡散してしまいます。
「上の歯の裏に軽く息を当てるように」吹くと、ちょうどよい形になります。
鏡を見ながら、息がまっすぐ出ているか確認しましょう。

■姿勢が崩れている
体が傾いていたり、笛の角度がズレていると、息が正しく当たりません。
背筋を伸ばし、あごを少し引いてやや左側に体をひねるイメージ。
笛の吹き口と体の中心を一直線に保つのがポイントです。

STEP.1:音が出ない原因を知ろう

STEP:3 STEP.2:正しい息の当て方を身につけよう

原因がわかったら、次は「音を出す」ための実践ステップです。
焦らず、少しずつ感覚をつかむことが大切です。

■「風切り音」から始めよう
最初から音を出そうとすると力が入り、方向が乱れます。
まずは「スーッ」と風が当たる音を出す練習をしましょう。
その風音が「ヒュッ」と変化した瞬間が、正しい角度を捉えたサインです。

■息を吹き込むのではなく、当てる
龍笛は息を押し込む楽器ではありません。
勢いではなく、細く・まっすぐ・一定の息を保つことを意識しましょう。
強く吹くよりも、息の筋を安定させるほうが音が安定します。

💡確認方法
・手のひらに息を当て、どの方向に出ているか確かめる
・息の流れを感じながら、角度を少しずつ変える

録音して聞くと、自分の息のブレがわかります。

STEP:4 SETP.3:姿勢を整えて、安定した音を出そう

最後のステップは「姿勢」です。
体のバランスが整うと、息の流れが自然になり、音の響きも格段に安定します。

■基本の姿勢
背筋を伸ばし、肩の力を抜く

顎を軽く引き、視線はまっすぐ前へ

笛の角度は水平〜やや下向き

腹式呼吸でお腹から息を出す

とくに呼吸は大切です。胸ではなくお腹を使って息を送り、長く途切れない息を出すことが、美しい音への第一歩です。

■うまくいかないときのリセット法
音が出なくなったり、焦りを感じたときは無理せず一度リセットしましょう。

肩の力を抜き、深呼吸を3回

姿勢を正し直し、息の方向を確認

10分吹いたら5分休む

龍笛は、焦るほど音が出にくくなる楽器です。
落ち着いて体を整える時間こそ、練習の一部と考えましょう。

SETP.3:姿勢を整えて、安定した音を出そう

STEP:5 まとめ

龍笛の音が出ない原因は、息の方向・唇の形・姿勢というごく基本的な3つの要素にあります。
しかし、その“基本”を丁寧に整えることこそ、音を生み出す第一歩です。
息の角度をつかみ、風切り音から練習を重ね、姿勢と呼吸を意識していけば、少しずつ笛があなたの息に応えるようになります。

龍笛は、ただの楽器ではなく、「息そのものを音に変える」存在です。
それはまるで、自分の内側と向き合いながら音を育てていくような体験です。

焦らず、一音一音を大切に。
あなたの息が龍笛と響き合ったとき、雅楽の優雅な音色が、確かにあなたの中にも宿るはずです。

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