Ableton Liveで録音すると音が遅れる原因と解決法【レイテンシー対策】
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Ableton Liveで録音すると音が遅れる原因と解決法【レイテンシー対策】

録音中に音が遅れる「レイテンシー」はバッファサイズの設定を変えるだけで解決できます。原因と対処法をわかりやすく解説します。

STEP:1 レイテンシーとは何か?まず原因を理解しよう

録音中に「弾いた音が遅れて聴こえる」「声を出してからモニターに返ってくるまでタイムラグがある」という経験はありませんか?この現象を「レイテンシー」と呼びます。

レイテンシーとは、音を入力してからスピーカーやヘッドフォンに出力されるまでの遅延時間のことで、単位はミリ秒(ms)で表します。一般的に10ms以下であればほぼ気にならないレベルですが、20msを超えると違和感が出始め、50msを超えると演奏しながらのモニタリングがほぼ困難になります。

レイテンシーが発生する主な原因は「バッファサイズ」にあります。
バッファとは、パソコンが音声データを処理する際に使う一時的なメモリ領域のことで、このサイズが大きいほど処理は安定しますが遅延も大きくなります。
逆に小さくするとレイテンシーは減りますが、CPUへの負荷が増えます。
この仕組みを理解しておくと、次のステップの設定変更がスムーズに進みます。

STEP:2 バッファサイズを下げて遅延を減らそう

まずは、Ableton Liveの「環境設定」を開きましょう。
Macなら画面上部のメニューから「Live」→「環境設定」、Windowsなら「オプション」→「環境設定」で開けます。
「オーディオ」タブを選択すると「バッファサイズ」という項目があります。ここが512や1024に設定されている場合は、128または256に変更してみましょう。これだけで多くのケースでレイテンシーが大幅に改善されます。

バッファサイズごとのレイテンシーの目安は以下の通りです(サンプルレート48kHzの場合)。

128サンプル:約2.7ms(録音・演奏時に最適)
256サンプル:約5.3ms(安定性とのバランス型)
512サンプル:約10.7ms(ミックスや書き出し作業向き)

録音時は128〜256に設定し、ミックス作業時は512に戻すという使い分けがおすすめです。ただしバッファサイズを下げすぎると、CPUが処理に追いつかずプチプチとしたノイズが発生することがあります。その場合は一段階上げて様子を見てみましょう。

バッファサイズを下げて遅延を減らそう

STEP:3 Windowsの場合はASIOドライバーを導入しよう

Windowsを使っている方は、ドライバーの種類もレイテンシーに大きく影響します。環境設定→オーディオの「ドライバータイプ」を確認して、「MME/DirectX」になっている場合は「ASIO」に変更しましょう。

ASIOはWindowsにおける低レイテンシー録音に特化したドライバー規格で、切り替えるだけで体感できるほど改善することがあります。オーディオインターフェースを使っている場合はメーカーの専用ASIOドライバーをインストールするのがベストです。インターフェースを持っていない場合は「ASIO4ALL」という無料のドライバーを導入することで対応できます。
ただし、ASIO4ALLは専用ドライバーと比べると安定性が劣る場合があるため、本格的に録音するならオーディオインターフェースの導入も検討してみてください。

MacはCore Audioが標準で最適化されているためドライバーの変更は不要です。

STEP:4 モニタリングの設定を見直そう

Ableton Liveには入力トラックのモニタリング方法を切り替えるボタンがあります。
トラック下部にある「イン」「オート」「オフ」の3つがそれで、録音中にモニタリングしたい場合は「イン」または「オート」を選択します。

ただしこの方法ではソフトウェアを経由するため、どうしてもある程度のレイテンシーが発生します。より遅延を減らしたい場合は、オーディオインターフェースの「ダイレクトモニタリング」機能を活用しましょう。

ダイレクトモニタリングとはパソコンを経由せず、インターフェース内部で音を直接モニターする機能です。
これを使えばソフトウェア処理による遅延がほぼゼロになります。設定方法はAbleton側のトラックの入力モニターを「オフ」にして、インターフェース本体のダイレクトモニタースイッチをオンにするだけです。

録音しながらリバーブやコンプなどのエフェクトをリアルタイムで確認したい場合はAbleton側のモニタリングを、純粋に遅延をなくしたい場合はダイレクトモニタリングを使うという使い分けが有効です。

【補足】ダイレクトモニタリングの操作場所はインターフェースによって異なります
多くのオーディオインターフェースは本体に「DIRECT」や「MIX」と書かれたつまみやスイッチがあり、そこで切り替えができます。
ただし機種によって操作方法が異なります。
例えば、RMEのBabyface Pro FSは本体での直接操作ではなく、付属ソフトウェア「TotalMix FX」上でインプットチャンネルからアウトプットへのルーティングを組む形でダイレクトモニタリングを設定します。
お使いのインターフェースの取扱説明書やメーカーサイトで「ダイレクトモニタリング」の設定方法を確認してみてください。

モニタリングの設定を見直そう

STEP:5 それでも改善しない場合の確認ポイント

上記の設定をすべて試しても改善しない場合は、以下を順番に確認してみましょう。

1.オーディオインターフェースを導入する
内蔵サウンドカードを使っている場合、設定を調整しても低レイテンシーの維持には限界があります。オーディオインターフェースを導入することで安定した低レイテンシー環境が整います。FocusriteのScarlettシリーズやRMEのBabyface Pro FSなどが定番です。

2.Abletonの低レイテンシーモニタリングを活用する
Ableton Live 11以降には「低レイテンシーモニタリング」という機能が搭載されています。環境設定→オーディオの中にある「レイテンシーの補正」をオンにすることで、モニタリング時のレイテンシーをソフトウェア側で自動的に最小化してくれます。ダイレクトモニタリングが使えない環境や、エフェクトをかけながらモニタリングしたい場合に特に有効です。
ただしCPU負荷が上がる場合があるため、負荷が高い状態では他の設定と組み合わせながら使いましょう。

3.録音中のプラグイン使用を減らす
CPU負荷が高い状態ではレイテンシーが増加します。録音時はエフェクトを最小限に抑え、ミックス時にかけ直すのが基本的なやり方です。

4.ケーブルや接続を確認する
USBケーブルやオーディオケーブルの品質・接続状態も意外と影響します。ハブを経由せず直接パソコンに接続することも試してみましょう。

レイテンシーの問題は設定変更だけで解決できることがほとんどです。まずSTEP 2のバッファサイズ変更から順番に試してみてください。きっと快適な録音環境が手に入るはずです。

それでも改善しない場合の確認ポイント

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