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サックスからクラリネットに転向すると難しい!?アンブシュアと指(オープンホール)のつまづき対策

STEP:1 はじめに

サックス⇔クラリネット、トランペット⇔ホルンなど、様々な理由から楽器転向をすることになった方もいるでしょう。
私自身もその一人で、最初アルトサックスをしていて、バンドのバランスの関係でクラリネットへ転向しました。その頃は特にサックスへ特別な執着もなかったので、気軽に了承したのですが・・
正直それを初めは後悔しました。
それくらい似て異なるものだったのです。

STEP:2 サックスとクラリネットの意外な関係

クラリネットは1700年前後に作られ、そこから改良を重ねて、現在のクラリネットが完成しました。
一方サックスは、それらをもとに完成させたものです。運指やリードの仕組みがクラリネットと似ているのはそのためで、管楽器の中でも新しい楽器です。
音の出し方はクラリネットに近く、運指はフルート、音色は金管楽器のホルンと似ています。サックスは、木管楽器と金管楽器の特性を併せ持っているのです。
そのためサックスは最初から「吹きやすさ」や「指の動かし方」を追求して改良・設計された楽器です。
一方でクラリネットは、木管楽器のなかでは「オーボエに次ぐ難しい楽器」と言われることもあるほど、一筋縄ではいかない特性を持っています。歴史的な構造を色濃く残しており、様々な「独特のクセ」があるのです。

STEP:3 手にしたときに感じる「構え方」と「角度」の違い

手にしてまず感じる違和感は、構え方でしょう。サックスの方はぎゅっと閉めず、軽く閉じるかほんの少し開けて構えます。それは、楽器の厚みがあるからです。ソプラノサックスの場合はそれほどサイズ感は変わりませんが、クラリネットより寝かせて構えるのが一般的です。
そして、キーに指を置いたときに最大の違和感を覚えることでしょう。基本は同じで、左手親指がレジスターキー、右手親指はサムレストに掛けて楽器を支えます。残りの小指以外の指はそれぞれのキーに置き、小指も小指キー(テーブルキー)に置きます。

クラリネットは脇を締めて、サックスよりも立てて構えます。ほぼ同じに見えますが、奏者には違和感に違いありません。
構えの角度が変わるということは、もちろんアンブシュアも変わります。

手にしたときに感じる「構え方」と「角度」の違い

STEP:4 アンブシュアも息の使い方も同じではいけない!

ぱっと見、サックスとクラリネットのマウスピースは同じように見えますが、実は全然違います。
サックスは地面に対してほぼ水平になっていて、クラリネットは斜め下向きです。
クラリネットは下唇をしっかり巻き込んでしっかり咥えないと音が出ません。サックスは下唇も軽く巻き込む程度で、緩めに加えます。
このように、マウスピースも違えばアンブシュアもまったく違うのです。

また、息の使い方も大きく異なります。
分かりやすく言うと、サックスは「入れた息が全部音になる」イメージ。
クラリネットは、「詰まって息が入らない」イメージ。
サックスは、太く温かみのある息、クラリネットは細く早い息が必要だといわれています。
私の感覚では、クラリネットの方が息圧は必要で、息も続かない感覚です。
最初の頃はとにかく「苦しい!」「息が切れる!」と疲労困憊でした

STEP:5 思わぬ落とし穴!「トーンホール」を自力で塞ぐコツ

それ以外の大きな違和感、それは『トーンホールの開閉』でしょう。これはやってみないとわからないですが、かなり苦戦要が高いです。
なぜなら、『トーンホールを塞がないと、出したい音が出ない』からです。当たり前のことを言っていますが、これがクラリネットはなかなか難しいのです。

私が高校生の頃、楽器をチェンジして遊んでいたことがありますが、他のパートの子にクラリネットを貸してみると、みんな『穴が全然塞げない!』と苦戦していました。サックスやフルートのように『キーを押せば勝手に塞がる』楽器に慣れていると、この『自分の指先だけで密閉する』感覚は、他楽器にはない独特の壁なんだと実感した瞬間でした。

まさに私もまずつまずいたのがそこでした。最初は指にキーの跡がつくほど力を入れて塞いでいたのを覚えています。実際は正しい位置を押せば力はいらないのですが、ついつい力が入ってしまっていました。

これを克服するには、『正しい指の位置を覚える』しかないです。繰り返し抑えて、しっかりと音の鳴る位置を指に叩き込むしかないのです。手の小さい人は、なかなか位置が定まらず苦戦するかもしれませんが、必ずしっくりくる位置が見つかります。
両手薬指が特に塞ぎにくいと思うので、しっかり押さえましょう!

STEP:6 サックス奏者を絶望させる「運指の不一致」

サックス奏者が最もパニックになるのが、「レジスターキー」でしょう。
サックスはオクターブキーを押すだけでオクターブに変えることが出来ます。ところがクラリネットはそうはいきません。レジスターキーで12度上がります。

サックス:低い「ソ」+オクターブキー = 高い「ソ」
クラリネット:低い「ド」+レジスターキー = 高い「ソ」

同じ運指もありますが、この運指を覚え直す作業は、かなり根気のいるステップです。

【上達のヒント】
まずは初めての動きである、「ラ」「シ」「ド」の練習をしましょう。
「ラ」の音は、「Aキー」のみを指のハラで押しますが、そのあとに全指を使う「シ」がくるため、「ラ」の押さえ方を反復練習です。「ラ」の時は、右手はもう下菅のキーを押さえておきましょう。これが難しいのですが、最初はキーに触れておくだけでもいいでしょう。「シ」になった瞬間に全音押さえると遅れてしまうので、この練習が不可欠となります。

サックス奏者を絶望させる「運指の不一致」

STEP:7 最後に

サックスからクラリネットへの転向は、見た目以上に大きな壁があります。
私自身も、最初は「こんなに難しいの!?」と何度も心が折れそうになりました。特にトーンホールとレジスターキーには、本当に苦戦しました。

ですが、不思議なことに、少しずつ体が覚えてくると、今度はクラリネットならではの音色の魅力や、繊細な表現の楽しさが見えてきます。
私がサックスではなくクラリネットを長年やってきたことこそが、クラリネットに魅了されたからに他なりません。

最初はうまくいかなくて当然です。
焦らず、ひとつずつ「できた」を積み重ねていけば大丈夫。
もし今まさにサックスからクラリネットへ挑戦している方がいたら、ぜひ諦めずに続けてみてください。
その先には、きっと新しい音楽の楽しさが待っています。

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