ポップスやクラシックだけでなく、ジャズでも大活躍のサックス。まず何から準備すればいいのか、お店にたくさん用意されているサックスにどんな違いがあるのか、その中からどのサックスを買ったらいいのかなど、初心者の方は色々と悩む場合が多いです。
本記事では、そんなサックス初心者の方に知っておいてほしい基本知識や、練習方法について解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
目次
STEP:1 サックスの種類とそれぞれの魅力
サックスはさまざまな音域のものが存在しています。本記事では、その中でも主要な4種類を紹介します。
・ソプラノサックス
・アルトサックス
・テナーサックス
・バリトンサックス
・ソプラノサックス
ソプラノサックスは上記の4種類の中で最も高い音が出るサックスです。サックスといえば曲がったフォルムが一般的ですが、ソプラノサックスはストレートな形状となっています。
ソプラノサックスは美しい高音と、クリアで軽快な音色が特徴です。管の長さが他のサックスに比べて短いため、演奏した際には息の量のコントロールや音程の調整により神経を使いました。
ソプラノサックスは、サックス4種類の中で1番吹きこなすのが難しい楽器ではないかと思います。
・アルトサックス
次は王道のアルトサックス。サックスといえばこれ、という方がほとんどだと思います。主にジャズで使用され、吹奏楽の舞台でもクラシック、ポップス問わずソロを吹く場面が多いです。
演奏した際には中音〜高音域を幅広くカバーし、甘くとろけるような音色や、太く力強い音色など様々な顔を見せられることに魅力を感じました。
楽器本体や管の長さも扱いやすいため、初心者の方にはまずオススメしたいサックスとなっています。実際に筆者もアルトサックスからスタートしました。
・テナーサックス
テナーサックスはジャズや吹奏楽、演歌といったジャンルで主に使用されるサックスです。
テナーサックスは、アルトサックスより若干音域が低く、中低音を主に担っています。渋く色気のある音色が特徴で、豪快なメロディーやいぶし銀なメロディーを吹き上げるのが得意な楽器です。
テナーサックスより音域が下のサックスは管の長さも長く重量も増すため、体力や身長が必要になってきます。とはいえ、156cm前後の友人も演奏していたため、かっこいいプレイをすれば小柄の方でも似合って見える印象です。
・バリトンサックス
バリトンサックスは4種類の中で最も低い音域を受け持つサックスです。有名なアーティストだと東京スカパラダイスオーケストラさんが使用されているので、見たことがある方も多いと思います。
音域はアルトサックスの1オクターブ下で、迫力のある低音と弦楽器のような柔らかく柔軟な音色を併せ持つのが特徴です。ネックの部分が大きく曲がっており、管自体もふたつに折り曲げられたようなフォルムをしています。
見た目も目を引き、独特の色気のある音のファンも多く、あえて王道のアルトサックスではなくバリトンサックスを選ぶ人もいます。
STEP:2 初心者におすすめのサックスの選び方
次に初心者の方が選ぶことの多いアルトサックスに絞り、選び方について解説します。
サックスの選び方のポイントは以下の5つです。
・使われている材質
・表面仕上げの塗装の種類
・ベルの製法
・メーカー
・値段
・使わている材質
サックスは基本的に真鍮(ブラス)が使われています。よく使われているのはイエローブラスとブロンズブラスの2種。
中でもイエローブラスが最もよく使用されるブラスで、明るく張りがある音色が特徴となっています。初心者の方が初めて持つサックスは、このイエローブラスがおすすめです。
より柔らかく、幅のあるふくよかな音色が好きな方は、ブロンズブラスを選ぶと良いでしょう。
・表面仕上げの塗装の種類
表面仕上げの種類は、主にメッキとラッカーの2種類。メッキは本体の金属へさらに金属を付着させており、ラッカーは本体の金属に塗布されています。
ラッカーは素材を保護する役目を果たしていて、サビや傷といったものから本体を保護してくれます。ラッカーの種類によっても音色に変化が生じるので、選ぶ際は重要なポイントと言えるでしょう。
初心者の方には1番一般的で、音の切れ味がよく、立ち上がりもはっきりとしているゴールドラッカーがおすすめです。
・ベルの製法
サックスのベルの製法は、1枚取りと2枚取りの2種類があります。
2枚取りはコストを抑え、大量生産が可能な製法です。1枚取りは職人の方が1本1本手作業でベルの形にしていくため、金属が良い響きになります。またベルの厚さも均等にできるため、2枚取りよりも音抜けが格段に良くなっています。
初心者の方でも長く使える楽器が良い場合は、1枚取りの製法のサックスを選びましょう。
・メーカー
サックスには「御三家」と呼ばれる、世界3大メーカーが存在します。
・セルマー
・ヤマハ
・ヤナギサワ
・セルマー
セルマーはサックスの生みの親、アドルフ・サックスから引き継いだ伝統の技術を基に先進的な技術も取り入れ、サックス界のトップに位置するメーカーです。
サックスといえばセルマーという方も多く、吹奏楽やジャズ等、様々な場面で使われています。筆者も実際に学生時代はジュビリー・シリーズIIを使用しており、艶とハリを併せ持ったふくよかな音色の魅力的な楽器でした。
・ヤマハ
ヤマハはサックスに限らず、様々な楽器を高いレベルで手がける総合楽器メーカーです。吹奏楽でよく用いられるモデルもヤマハなのではないでしょうか。
音抜けの良さや安定感があり、品質も良く初心者向けモデルも充実しています。これからサックスを始めたい方は、1番手に取りやすいメーカーでしょう。
・ヤナギサワ
ヤナギサワは、1896年から創業されている日本の老舗メーカーです。全体としてパリッとした軽やかな音色で、様々な金属で管体を作成しているため素材によっても音色の差を出せる特徴があります。
日本のメーカーのため高い品質で、音の丸みや響きも上質です。高い操作性をもつ、細部までこだわり抜かれた仕上がりのサックスを購入できます。筆者も現在使っているのがヤナギサワ製のアルトサックスです。
・値段
初心者の方が1番悩むのはやはり値段。初心者の方は特にどの価格帯のサックスを選べば良いのか悩むかと思います。
値段はピンキリではありますが、初心者だからといってあまりにも安い楽器を購入するのはおすすめしません。慣れてきた際に、確実に吹き心地に納得しなくなる場合がほとんどだからです。
最低でも20万円以上のクラスを選べば、一生モノの相棒として吹き続けることも可能です。
STEP:3 サックス本体以外の必要アイテム
サックス本体だけの購入では演奏はできません。サックスを始める時に、まず揃えておきたいアイテムを紹介します。
必要なアイテムは以下の4点です。
・マウスピース
・リガチャー
・リード
・ネックストラップ
・マウスピース
マウスピースはサックス本体を購入した際に付属していることがほとんどです。もし別で購入する場合は、ハードラバータイプのものをおすすめします。
ハードラバーはプラスチック製のマウスピースと比べると、減りが少なく音に柔らかさや艶つぽさを出せます。
・リガチャー
リガチャーは初心者の方でも最初に購入をオススメしたいアイテムです。リードをマウスピースに固定するためのアイテムですが、これだけでも音色が変わってきます。
初心者の方へのおすすめは、ネジをリード側で締める順締めの金属製のリガチャーです。金属製は吹きやすく、立ち上がりの良い明るい音色になります。順締めは安定性も兼ね備えているので、当てはまるリガチャーをチョイスしてみましょう。
・リード
音を出すのには必要不可欠なリード。サックスの種類によって異なりますが、10本程度1箱に入っています。ただし、吹きやすいリードは1箱に1〜2枚程度と言われます。
初心者の方はまずは2箱程度買ってみましょう。買ったあと、一通り拭いて吹きやすいもの、吹きにくいものに分類していきます。リードは吹いて育てることで吹きやすくなるものもあります。日々ローテーションしながら吹き、自分に合ったリードを作りましょう。
・ネックストラップ
付属のストラップはクッションがなく、首への負担がかなり大きいです。そのため、ネックストラップも初心者の方こそ最初に購入することをおすすめします。
筆者は肩に負担の分散できる三又のショルダータイプのストラップを愛用しています。首に負担がかかるものを使っていた時は、首の痛さからくる頭痛に悩んでいました。
ストラップをショルダータイプにすることにより上半身全体でサックスを支えられるので、楽器を吹く際もより安定して音が出せるようになりました。
良い姿勢をキープすることは、音の安定性にも繋がります。ぜひネックストラップはショルダーバッグタイプのものを最初に購入するのがおすすめです。
STEP:4 サックスの基本的な音の出し方
まずサックスの音を出してみましょう。初めは本体は付けず、マウスピースだけで音を出す練習をします。
サックスの音を出すには、マウスピースとリードの間に息を吹き込んでリードを上手に振動させる必要があるのです。
まずリードを舐めて湿らせてからマウスピースにつけましょう。リードを湿らせることで、息を吹き込んだ際に上手く振動します。
マウスピースを咥える際は、まずマウスピースの先端1センチほどに上の歯を当てます。次に下唇を下の歯に軽く巻き込むようにして口全体でマウスピースを咥えましょう。
息が漏れないように、マウスピースを口角を上げるようなイメージで固定します。この状態で息を吹き込むと音を鳴らせます。
この音を吹き込む際の口の形を「アンブシュア」と言いますが、このアンブシュアが上手くいかないとまず音が出せません。
筆者も最初はこのアンブシュアを習得するのが難しかったのですが、頬を大きくふくらませない、口周りに力を入れすぎないという2点を意識すると、音を出せました。
STEP:5 初心者向けの基礎練習方法
初心者さんに最初にやって欲しい基礎練習は主に以下の3つです。
・タンギング
・ロングトーン
・スケール
STEP:6 タンギング
タンギングは舌で音を切る技術です。サックスにおいて1番よく使用される技術と言っても過言ではありません。楽器を吹きながら「Tu(トゥ)」の音を発音します。舌は小さく、前後に動かすことを意識しましょう。
初心者の方は♩=60のテンポで、4分音符〜16分音符まで吹く練習を繰り返し行います。慣れてきたら徐々にテンポを上げて早い速度でも吹けるようにしましょう。筆者もずっと行っているタンギングの練習法です。
タンギングの質を高めることで、音楽の細かなクオリティを上げることもできます。正しいタンギングで練習しましょう。
STEP:7 ロングトーン
ロングトーンはその名の通り音を真っ直ぐ伸ばす練習のことをいいます。簡単そうな練習ですが、まっすぐ綺麗な音色で音を伸ばすためには、息やアンブシュアの形も一定に保たなければいけません。
口周りの筋肉がないと音がブレてしまい、長く綺麗な音を出せません。ある種の口周りの筋トレのような基礎練習でもあります。息のコントロールの仕方をしっかりと練習できるので、早いテンポの曲を演奏する際やビブラートをつけたい時にも役立ちます。
♩=60で、低音から高音まで満遍なくロングトーンを行いましょう。ただ惰性で音を出すだけにならないよう、筆者は吹く姿勢や息の吸い込み方、音の処理の仕方に気をつけて練習しています。
STEP:8 スケール
ロングトーンで管をしっかり鳴らせたらスケール練習に移ります。まずは長調のスケールをすべて暗譜で吹けるまでひたすら繰り返し練習しましょう。
動画では、音を1個飛ばして吹くスケールを行っています。実際の楽譜では音が跳躍するケースも多いです。慣れてきたら2個飛ばし、3個飛ばしのように飛ばす音を多くして練習しましょう。
スケールは練習することで指がスムーズに動くようになったり、楽譜を読むのが早くなったり、#や♭といった半音の運指を早く覚えられたりします。
初めて譜面を見た曲でもスラスラと吹けるようになりたいと思い、筆者も毎日最低1時間の基礎練習を行っていました。みなさんも、地道な練習ですが確実に上手くなれるので、毎日しっかりと行っていきましょう。
STEP:9 基礎練習をマスターしてサックスを吹きこなそう
いかがでしたか?自分に合ったサックスの選び方や基礎知識、初心者向けの基礎練習方法について解説してきました。
良い楽器を買ったとしても、基礎練習や基本の形がマスターできていなければ、いい音色を奏でることはできません。
コツコツと基礎練習を日々積み重ねていけば、どんなに難しい曲も初見で吹けるようになります。基礎練習を何度も繰り返し行い、さまざまな楽曲をサックスで吹きこなせるようになりましょう。
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