ベースが聞こえない原因は、音量不足だけではありません。低域の出しすぎ、EQの濁り、弾き方のばらつき、ギターやキックとの音量バランスが重なると、音量を上げてもベースは前に出ません。この記事では、ベースが埋もれる原因と、抜ける音を作るための確認手順を整理します。
目次
STEP:1 詳しい解説は、ぜひこちらの動画もあわせてご覧ください!
【この記事のために撮り下ろした動画です】
STEP:2 ベースが聞こえない主な原因は低域過多と帯域被り
ベースが埋もれる最大の原因は、低音の量と聞こえる成分がずれている状態です。
4弦ベースの開放Eは約41.2Hz、Aは55Hzです。5弦のLow Bは約30.9Hzまで下がります。数字だけ見ると30Hzや40Hzを上げたくなりますが、この低さは音程というより、部屋鳴りや揺れとして耳に残る帯域です。
ベースラインの音程やリズムを支えるのは、低音の量ではなく中域とアタックです。低域が多すぎる、ギターやキックと帯域が重なる、アタックが足りない、バンド全体の音量が大きすぎる。この4つを切り分ければ、原因はすぐ絞り込めます。
STEP:3 リハでベースが聞こえない時は全体音量から下げる
リハでベースが聞こえない時は、最初にベースアンプを上げるのではなく、バンド全体の音量を一度下げます。
音量が大きすぎると、部屋鳴りと反射で低域の輪郭が消えます。ギター、ドラム、ベースが全員で音量を上げ合えば、耳が疲れるだけで、客席には低音の膨らみだけが届きます。
次に、ベース単体をフラット付近から作り直します。アンプやプリアンプの低域を盛った状態から始めると、EQで何を直しているのか見失います。まず基準点を決め、スマホ録音やCubaseのメーターで客観的に確かめましょう。
STEP:4 EQは低音を足す前に120から250Hzの濁りを引く
抜けるベース音を作るEQでは、低域を足す前に濁りを引きます。
30から50Hzはサブ感や部屋鳴り、120から250Hzは厚み、200から400Hzはモコモコした濁りが出やすい帯域です。とくに120から250Hz付近が膨らむと、音程の入口がぼやけます。
CubaseならStudioEQで幅を狭く取り、濁る場所を探して少し下げます。周波数の表は答えではなく地図です。ベース本体、弦、アンプ、部屋、曲調で、狙う値はそのつど変わります。
STEP:5 400から800Hzと1から2kHzで抜ける輪郭を作る
ベースの抜けを作るのは、低音の大きさではなく中域の輪郭です。
400から800Hzは音程感と芯を担う帯域です。1から2kHzは指やピックのアタックが立ち、小さい音量でもフレーズを追えます。ただし上げすぎると硬くなるので、バンド内で少しずつ足していきます。
アンプやペダルでも中域は要になります。ベース用EQやプリアンプの多くは、400Hz、800Hz、1kHz付近を触れる設計です。単体で気持ちいいドンシャリ音は、バンドに入ると中域の名札を外してしまいます。
STEP:6 弾き方はブリッジ寄りとミュートで粒をそろえる
EQの前に、右手の位置とミュートでもベースの聞こえ方は大きく変わります。
ブリッジ寄りで弾くと明るく輪郭が立ち、ネック寄りは太く丸い方向へ寄ります。聞こえないから強く弾く、という対処はすすめません。力任せに弾くとピッチが揺れ、バズやフレーズの乱れにつながります。
音量はアンプやPAに任せ、指は発音と粒をそろえることに集中します。鳴らしたい弦以外をミュートすれば、余計な低域の伸びが減り、次の音の入口がはっきりします。
STEP:7 ギターとキックの音量バランスでベースの居場所を作る
ベースだけ直しても聞こえない時は、ギターとキックの音量バランスを見直します。
歪んだギターが低域と低中域を出しすぎると、ベースの居場所が狭くなります。ギターのローを少し整理すると、バンド全体はむしろ太く聞こえます。
キックとベースが60から100Hz付近を取り合っても低域は濁ります。キックを下に置くのか、ベースにアタックを任せるのかを曲ごとに決めれば、低音の役割がはっきりします。
STEP:8 音量だけ上げるNGを避けて6ステップで確認する
ベースが聞こえない時に音量だけを上げると、輪郭のない低音が大きくなるだけです。
リハでは、全員で音量を下げる、ベースをフラット付近から作る、30から50Hzと120から250Hz付近の濁りを探す、400から800Hzの芯と1から2kHzのアタックを少し足す、ギターとキックの担当場所を決める、最後に音量を微調整する。この順で進めます。
この順番なら、原因が音量不足なのか、EQなのか、弾き方なのか、帯域の被りなのかを、ひとつずつ切り分けられます。
STEP:9 まとめ|ベースを抜けさせる手順
ベースの抜けは、低音の量ではなく、音程と粒が見える輪郭で決まります。だから音量から上げても、輪郭のない低音が大きくなるだけです。
やることは決まっています。まず全員で音量を下げ、ベースをフラット付近から作り直す。120から250Hzの濁りを引いてから、400から800Hzの芯と1から2kHzのアタックを少し足す。右手はブリッジ寄りとミュートで粒をそろえ、ギターのローとキックの居場所を整理して、最後に音量を微調整します。
低域過多、帯域被り、輪郭不足、弾き方、全体音量。この5つを切り分ければ、リハでも録音でもベースラインは前に出ます。
次のリハでは、まず全体の音量を下げるところから試してみてください。ひとつずつ確かめれば、ベースの居場所はきっと見つかります。
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