大人から始めるピアノ練習法5選|効率的で継続しやすい方法を経験者が解説
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大人から始めるピアノ練習法5選|効率的で継続しやすい方法を経験者が解説

大人からピアノを始める方に向けて、35年のピアノ経験を持つ筆者が実体験に基づいた練習法を紹介します。指の硬さや時間不足など大人特有の悩みを解決し、無理なく継続できる5つのステップを詳しく解説。完璧を求めず楽しみながら上達できる方法をお伝えします。

STEP:1 大人がピアノを学ぶメリット

大人からピアノを始めることは、決してハンディキャップではありません。むしろ、大人だからこそ得られるメリットがたくさんあります。
まず、大人は論理的思考ができるため、「なぜこの指使いなのか」「なぜこのリズムなのか」を理解しながら練習できます。子どもは感覚的に覚えますが、大人は理屈で納得してから身につけるため、一度覚えたことは忘れにくいのが特徴です。
また、大人は自分のペースで学習できます。「今日は疲れているから5分だけ」「今日は調子が良いから30分弾こう」といった柔軟な調整が可能です。無理をしないからこそ、長く続けられるのです。
ピアノ演奏は、日々のストレス解消にも効果的です。鍵盤に集中することで、仕事や家事の悩みから一時的に離れることができ、心のリフレッシュにつながります。

STEP:2 ピアノ練習で大切な心構え

ピアノ練習を継続するために最も重要なのは、「完璧を求めすぎない」ことです。
練習中に間違えてしまっても、そこで止まらずに最後まで弾き続けましょう。筆者も練習時に「この音は違った」「今のリズムおかしかった」と感じることは日常茶飯事です。
しかし、一度止まってしまうと、そこからの再開は意外と難しいものです。間違いを恐れて止まるよりも、多少のミスがあっても最後まで弾き通すことで、曲全体の流れを身体で覚えることができます。
また、「毎日必ず1時間練習する」といった厳しいルールを設けるのも挫折の原因になります。5分でも10分でも、毎日ピアノに触れることの方が、長期的には大きな成果につながります。
練習は「量」よりも「継続」です。無理のない範囲で、楽しみながら続けることを心がけましょう。

ピアノ練習で大切な心構え

STEP:3 練習1. 毎日5分の指ほぐし運動

大人の指は日常的にスマートフォンやパソコンのキーボードを使うため、硬くなりがちです。ピアノを弾く前に、まず指をほぐしましょう。

〇基本の指体操

・手首をゆっくり回す(時計回り・反時計回り各10回)
・指を一本ずつ上下に動かす(各指5回ずつ)
・手をグーパーの形に繰り返す(10回)

次に、指番号を覚えながらドレミファソを弾いてみましょう。親指を1番、人差し指を2番と順番に割り当て、1番でド、2番でレ、3番でミ、4番でファ、5番でソを弾きます。
最初はゆっくりと、慣れてきたら少しずつテンポを上げていきます。この簡単な運動を毎日5分続けるだけで、指の独立性が向上し、滑らかな演奏の土台ができます。

練習1. 毎日5分の指ほぐし運動

STEP:4 練習2. 正しい姿勢とフォームの習得

間違った姿勢やフォームは上達を阻害し、手や腕の痛みの原因にもなります。最初に正しいフォームを身につけることが重要です。
〇基本の座り方

・椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばす
・足裏全体を床につける
・鍵盤と体の距離は、肘が軽く曲がる程度

〇手のフォーム

・手首は鍵盤と同じ高さかやや高めに保つ
・指は卵を持つような丸い形を作る
・肩の力を抜き、腕は自然に下ろす

正しいフォームは最初は違和感があるかもしれません。筆者も再開当初は「こんなに手首を上げるの?」と感じていました。しかし、継続することで必ず自然な動きになります。鏡を見ながら練習すると、自分のフォームを客観的にチェックできます。

練習2. 正しい姿勢とフォームの習得

STEP:5 練習3. 片手ずつのメロディ練習

いきなり両手で弾こうとすると混乱してしまいます。まずは右手だけで簡単なメロディを弾けるようになりましょう。
〇おすすめの練習曲

ちょうちょ(ソミミファレレ ドレミファソソソ)

この曲は多くの方が知っているメロディなので、楽譜が読めなくても音の高低を耳で確認しながら練習できます。指番号を意識して、正しい指使いで弾くことを心がけましょう。
一音ずつ確実に押さえることから始め、慣れてきたら滑らかに演奏できるよう練習します。右手で基本的なメロディが弾けるようになったら、左手で単音の伴奏(ドやソなど)を加えてみましょう。

STEP:6 練習4. 楽譜の基本的な読み方

楽譜が読めると、演奏できる曲の幅が大幅に広がります。大人は論理的に理解できるため、効率よく読譜力を身につけることができます。
〇まず覚える音

 右手(ト音記号):真ん中のドから上のドレミファソ
 左手(ヘ音記号):真ん中のドから下のドレミファソ

〇効率的な覚え方

 五線譜の線上と線間を区別する
 基準となる音(真ん中のド)を確実に覚える
 そこから上下に数えて音程を把握する
 毎日少しずつ読譜範囲を広げる

最初は時間がかかっても、毎日少しずつ楽譜を見る習慣をつけましょう。簡単な童謡の楽譜から始めて、徐々に難しい楽譜にチャレンジしていくことがコツです。

練習4. 楽譜の基本的な読み方

STEP:7 練習5. 両手演奏への段階的アプローチ

両手での演奏は、焦らず段階的に進めることが成功の秘訣です。以下のスケジュールを参考に、確実にステップアップしていきましょう。
〇2週間で1曲マスターするスケジュール
1-3日目:右手のメロディを完璧に
 正しい指使いで、ゆっくりと確実に弾けるようになりましょう。間違えても止まらず、最後まで弾く練習を心がけます。
4-6日目:左手の伴奏を追加
 単音での簡単な伴奏から始めます。右手と同じテンポで弾けるように練習しましょう。
7-10日目:両手を別々に完璧にする
 右手、左手それぞれを暗譜できるレベルまで練習します。メトロノームを使ってテンポを一定に保つことも重要です。
11-14日目:両手合わせの練習
 最初は非常にゆっくりとしたテンポで始めます。一小節ずつ区切って練習し、徐々につなげていきます。完璧でなくても、最初から最後まで通して弾くことを心がけましょう。
この練習スケジュールを守ることで、無理なく両手演奏ができるようになります。「今日はここまでできた」という達成感を大切にして、完璧を求めすぎないことがポイントです。

練習5. 両手演奏への段階的アプローチ

STEP:8 まとめ

以上、大人から始めるピアノ練習法について解説しました。
大人がピアノを始めることは決して遅くありません。むしろ、論理的思考力や柔軟な学習ペースなど、大人だからこその利点を活かすことで、効率的に上達することができます。
本記事で紹介した5つの練習法は、筆者が実際に試して効果を実感したものです。初めから複雑な演奏を目指さず、まずは指ほぐしや正しいフォームから始めて、段階的にレベルアップしていくことが重要です。
また、練習を継続するためには「完璧よりも継続」を心がけましょう。5分でも10分でも、毎日ピアノに触れることで、確実に上達につながります。
これらの練習法を活用して、ピアノ演奏への不安を解消し、音楽のある豊かな生活を始めてください。きっと、日々の暮らしがより充実したものになることでしょう。

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