しかし、ハ音記号がどのような記号なのかについて知っている方は、あまりいないのではないでしょうか?
今回は、ハ音記号について解説をしていきます。
この記事を読むことによって、ビオラの楽譜の読み方がわかるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。
STEP:1 ハ音記号とは?
ハ音記号とは、音部記号と呼ばれる記号の一種です。
では、音部記号とはどのような記号なのかというと、音の高さの基準を示す記号になります。
音部記号には、ハ音記号の他にト音記号とヘ音記号と呼ばれる記号も存在します。
これらの記号は、ハ音記号よりも使われる機会が多いため、見たことのある方も多いのではないでしょうか。
しかし、これらの記号がそれぞれ何を表しているか、ご存知でしょうか?
ハ音記号は、その名の通り中央ハ(ピアノの真ん中あたりにあるドの音)の位置を示す記号です。
ハ音記号の中心を通る線が、中央ハの位置になります。
この記号は、Cの文字を図案化した記号です。
次に、ト音記号はGを図案化した記号で、丸い部分の中心を通る線が中央ハのすぐ上にあるト(ソ)の音の位置を示します。
そして、ヘ音記号はFを図案化した記号で、2つの点の間を通る線が中央ハのすぐ下にあるヘ(ファ)の音の位置です。
各記号の基準線の位置とその音名を、それぞれ下図に示します。
STEP:2 ハ音記号にも種類がある
下図は、ヘ音記号、ハ音記号、ト音記号の音の高さの関係を示したものです。
図から、ハ音記号はちょうどヘ音記号とト音記号の間にある記号であるということがわかるかと思います。
ところで、下図には2種類のハ音記号(アルト記号とテノール記号)が描かれています。
実は、ハ音記号には2種類あるのです。
まず、右側に描かれているアルト記号は、ハ音記号が五線譜の中心に位置しているような記号です。
この記号は、主にビオラなどの楽譜に利用されます。
それに対し、左側に描かれているテノール記号は、ハ音記号の位置がアルト記号よりも一つ上です。
そのため、中央ハを表す線がアルト記号より一つ上になり、アルト記号よりも少し低い音域を表すことができます。
この記号は、チェロなどの楽器で利用されます。
STEP:3 なぜビオラはハ音記号を使うのか
上記までで、ハ音記号について説明してきました。
ですが、ハ音記号はビオラやチェロなど、一部の楽器でしか利用されません。
では、なぜビオラはハ音記号を使用するのでしょうか?
なぜト音記号やヘ音記号ではダメなのでしょうか?
上記の疑問は、ビオラの音域について考えることで理解できます。
下図は、ファーストポジションで演奏できるビオラの音域です。
アルト記号で示した場合、ファーストポジションで演奏できる音域は、ちょうど五線のあたりに収まっているのがわかるかと思います。
しかし、ト音記号やヘ音記号では、大量の加線を使用するか途中で音部記号を切り替えるかしなければ表すことができません。
そのため、ト音記号やヘ音記号を使用した場合、楽譜が非常に読みづらくなってしまいます。
上記の理由から、ビオラの楽譜にはアルト記号がよく使われるのです。
ただし、ハイポジションで演奏するような場合には、ト音記号が使用されることもあります。
STEP:4 参考:そのほかの音部記号
現在使われている音部記号は、トレブル記号(ト音記号)、バス記号(ヘ音記号)、アルト記号、テノール記号の4種類です。
しかし、歴史的にはそれら以外の記号も使われていました。
下図に、音部記号の一覧を示します。
音部記号の名前をみると、ハ音記号はソプラノやアルト、テノールというように、声域を示す用語が使用されているのがわかるかと思います。
現代では、声楽には主にト音記号とヘ音記号が使用されますが、実は古典派以前では主にハ音記号とヘ音記号が使用されていたのだそうです。
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